性暴力予防教育プログラムの開発・調査

プロジェクトの概要

京都大学SMBC京大スタジオ「貧困・格差・虐待の連鎖を乗り越える教育アプローチの研究開発と普及」プロジェクトにおける「性暴力予防教育プログラム開発プロジェクト」(研究チーム代表:京都大学大学院教育学研究科臨床心理学講座教授 西 見奈子)では、性暴力の被害者にも加害者にもならないための同意とバイスタンダーアプローチに焦点を当てた性暴力予防教育プログラムの作成に取り組んでおります。
子どもたちを取り巻く環境は、SNSの普及や性の多様性への理解の広がり、性暴力被害の低年齢化・深刻化など、大きく変化しています。そのような中、学校には子どもたちが自分自身や他者を大切にし、安全な人間関係を築く力を育む教育が求められています。
本プロジェクトでは、中学生を対象とした性暴力予防教育プログラムの開発と、その教育効果の検証に取り組んでいます。国内外の研究や実践事例を調査するとともに、専門家による知見を取り入れながら、学校現場で実施しやすく、子どもたちの発達段階に応じた教育プログラムの構築を目指しました。
バイスタンダーアプローチはこれまでアメリカを中心に多くの研究が行われ、性暴力の予防に一定の効果を示してきましたが、日本ではまだほとんどおこなわれていません。被害者、加害者という視点だけではなく、社会全体で性暴力を防ぐために何ができるのかを考えるための性暴力予防教育プログラムです。
そのように開発したプログラムでは、性暴力予防に必要な知識の習得に加え、「同意」について考えるワークや、不適切な場面に居合わせた人が行動するための「バイスタンダーアプローチ」の考え方を取り入れています。子どもたち一人ひとりが安心して生活できる学校づくりに貢献することを目指し、教育実践と研究の両面から取り組んでいます。

プロジェクトメンバー紹介

教員
  • 西 見奈子/京都大学大学院教育学研究科・教授
  • 高橋雄介/京都大学大学院教育学研究科・准教授
学生
  • 大林裕典・岡村香織・田中美沙子/博士後期課程臨床実践指導者養成コース
  • 足立龍誠・敷田鑑・山口幹子/博士後期課程研究者養成コース
  • 片岡琢雄・西岡彰悟・柳悠華・陳思妤・吉田祥世・相模亜由/修士課程臨床心理学コース
卒業生
  • 保崎恵理子/京都府警察本部警務部厚生課健康管理センター
  • 久保薗悦子/大阪府公立学校スクールカウンセラー
  • 杉本頼己/鹿児島大学大学院臨床心理学研究科・特任助教
  • 佐々木大樹/東海学園大学心理学部・准教授

取組み

①国内外の性教育に関する学術研究、事例の収集

国内外の文献収集を行うとともに、外部の有識者を招へいして講演会を実施しました。

講演① 2025年8月21日(木)

福岡県における「性暴力対策アドバイザー派遣事業」制度の概要と運用の実際
窪田 由紀 先生(臨床心理士・認定専門公認心理師・福岡県性暴力対策検討会議専門委員長)

「性暴力対策アドバイザー派遣事業」制度の概要と運用の実際

講演② 2026年2月24日(火)

暴力防止プログラムの効果検証と課題
― 幼児から高校生までを対象として ―
赤澤 淳子 先生(福山大学 人間文化学部心理学科(現 愛媛大学 教育学部))
上野 淳子 先生(四天王寺大学 社会学部社会学科)

暴力防止プログラムの効果検証と課題

②教員への性暴力予防教育に関わる意識調査

中学校における性暴力予防実践の現状把握のための中学校教員を対象とした意識調査を実施予定です。

③現代的な問題に対応した性暴力予防教育の開発と効果検証

これまでの調査を踏まえ、下記の観点に基づいてプログラムを開発しています。
  • 中学生を対象とした性暴力予防教育プログラム
  • 性暴力予防のための知識を習得する。
  • 相手の気持ちを大切に考える「同意」について臨床心理学の視点から学ぶ。
  • 性暴力をなくすために、自分ができること、社会全体でできることを考えるための「バイスタンダーアプローチ」について学ぶ。