私たちは、内閣府による SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)第3期(2023~2027年度)の課題の一つ「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」に採択され、現在、「真正で探究的な学びを実現する教育コンテンツと評価手法の開発」(研究開発責任者:松下佳代)というプロジェクトに取り組んでいます。
このプロジェクトでは、「社会を創る資質・能力」を育む「真正で探究的な学び」を実現するため、パフォーマンス評価を生かした教育コンテンツと、学びのストーリーを紡ぎだすデジタル・ポートフォリオを開発し、教員の探究指導力の養成と学校や自治体での実装に取り組んでいます。 プロジェクトの愛称は、AICAN*(アイキャン)です。AICANの実践や研修にあなたも参加してみませんか。
研究開発責任者 松下佳代
2023年度に、小5理科の単元「電流がうみ出す力」(全11時間)で開発・実施した授業の模様です。
「風力最強のハンディファンをつくろう!」というパフォーマンス課題を軸に授業が展開していきます。
サブ・プロジェクトディレクター 西岡 加名惠
(京都大学)
SIPは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が、府省の枠や旧来の分野を超えて、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。第3期(2023~2027年度)は10の課題に取り組んでおり、私たちは、そのうちの一つ「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」(ポスコロSIP、プログラムディレクター:西村訓弘三重大学教授)に参加しています。
この課題は5つのサブ課題からなり、私たちのプロジェクトは、サブ課題A「新たな「学び」のデザイン開発」(サブ・プロジェクトディレクター:西岡加名恵京都大学教授)のうちの一つです。詳しくは、リーフレットを参照してください。
(チームA:全体統括)
チームB・C・Dの成果を集約し,京都大学大学院教育学研究科E.FORUMにおいて研究会・研修会などを開催。「目標設定→指導と学習→データ収集→評価→改善…」というサイクルを効果的に回し、「資質・能力」をバランスよく育成できるカリキュラム・マネジメントを実現できる力量を教師たちに保障する。
(チームB)
生徒の「探究」を支援し,長いスパンでの学びの経験のストーリーを紡ぐことを可能にするとともに,教師たちのカリキュラム・マネジメントにも役立つデジタル・ポートフォリオを開発する。
(チームC)
データを収集・整理し,多面的かつ批判的に解釈し,問題解決に取り組むことを可能にするようなコンテンツを開発し、データ活用力を伸ばす。
(チームD)
パフォーマンス課題の実践を容易にするコンテンツを開発,児童・生徒主体の授業を実現し,「思考力・判断力・表現力」を育成する。
AICANのチームAでは、総合と教科の真正で探究的な学びのコンテンツやシステムを学校現場に実装するために、実践者の探究指導力育成研修の開発を進めています。デジタル・ポートフォリオやパフォーマンス課題を取り入れた単元開発など、他チームの取り組みを学校現場の先生方に伝えるとともに、効果的に取り組んでもらえる支援を行うことを目指しています。具体的には、毎年、本研究開発に関する研究会や研修会(ワークショップやシンポジウムを含む)を実施して試行しています。また、そのような研究会や研修会を通じて、全国の学校で蓄積されている知見を集約して、教育コンテンツや評価手法のより良い開発にもつなげています。
研究開発責任者 松下佳代
奥村好美
石井英真
AICANのチームBでは、総合的な学習(探究)の時間等における利用を想定したデジタル・ポートフォリオの開発を進めています。このデジタル・ポートフォリオの基本的なコンセプトは「生徒が自らの学びのストーリーを紡ぐ」ことです。ポートフォリオは、本来、学習成果に関するログを単に残すデータベースではなく、「学習履歴をまとめた本」や「学びのアルバム」となるべきものです。私たちは、生徒が各種の成果資料を編集してポートフォリオを作成する過程で、自らの学び(探究)のストーリーを紡ぎ、それについて他者(教師や友人)と対話したり、自身の探究の履歴を振り返ったりすることができるデジタル・ポートフォリオを開発しています。ポートフォリオの開発に際しては、これまでの教育評価研究の知見を土台とし、全国の学校等を訪問調査することで各校の実践的知見を学び、理論的・実践的な知見を結集させることを目指しています。
石井英真
久富望
石田智敬
(神戸大学)
大貫守
(愛知県立大学)
田中孝平
(北海道大学)
AICANのCチームでは、昨今は大学・高校において拡がりを見せているデータサイエンス教育について、義務教育段階でも利用可能なコンテンツと評価手法の開発に取り組みます。既に、義務教育段階でも、プログラミング教育の推進や、算数・数学における統計分野の充実は図られています。本研究では、データに対する解釈の多様性の受容に配慮され、データ利活用に伴う倫理的・法的・社会的課題(ELSI)における論点が踏まえられた、義務教育段階だからこそ可能なコンテンツと評価手法を目指しています。また、情報活用能力が、教科の枠を超えて学習の基盤となる資質・能力の1つとして求められていることを踏まえ、チームDが開発する、教科と紐づいたコンテンツとの連携を徐々に進めていきます。
久富望
AICANのチームDでは、教科におけるパフォーマンス課題を生かしたデジタル・コンテンツと評価手法の開発を進めています。学校の先生方がパフォーマンス課題に取り組みやすくなり、子どもたちが楽しく学び深められるようになることを目指して、取り組みを進めています。具体的には、現在、小学校の国語・算数・理科・社会で単元開発を進めています。例えば、理科では、単元「電流が生み出す力」(小5)で、「風力最強のハンディファンを作ろう!」というパフォーマンス課題や、ハンディファンのキット(実物)と対応したデジタル・コンテンツであるシミュレーターなどを開発しました。今後、中学校・高等学校やその他の教科でも開発を進めていきたいと考えています。
奥村好美
水越駿
(TOPPAN株式会社)
大貫守
(愛知県立大学)
田中孝平
(北海道大学)
福嶋祐貴
(京都教育大学)
若松大輔
(弘前大学)
本宮裕示郎(2025~)
(滋賀県立大学)